2012年07月09日

EMの社会運動としての側面

 EM(有用微生物群)を扱った長野剛記者の7月3日朝日新聞の記事が話題になっています。参考まとめもあります。
EMに関してはニセ科学であるという指摘がネット上に多数寄せられていますが、踏み込んだ新聞報道は従来ありませんでした。
今回の報道はEMが科学的に有効性を確かめられていない事実を指摘し、EM報道記事としては画期的なものです。
EMがニセ科学であることに異論はありませんが、その活動には社会運動的な側面があると思います。
今回社会運動としてのEMを考えてみます。

 新聞報道が青森県版だったので、青森の状況は酷いという誤解があります。
しかし、実際には全国の多くの都道府県が同じ様な状況です。
具体例として、EMを支持する方のブログ環境学習ネットワークをご覧ください。
地域への浸透を現す詳細資料がEM以外から出ている例もあります。
ライオンズクラブ(336-B地区 鳥取県・岡山県)アンケート集計結果をご覧ください。

 全国の自治体に広く浸透しているEMは、教育、医療、農業、環境、福祉など複数の分野が活動領域です。
ホメオパシーが代替医学分野、水からの伝言が教育分野など他のニセ科学が活動領域を絞っているのとは異なる展開です。
EMにはニセ科学であるという指摘以外に宗教的であるという指摘もあります。
活動領域が多岐に渡る点、微生物に神秘性を持たせている点などEMには宗教を思わせる面があります。
しかし既存の宗教と比較すると生活の細部にまでは入り込んでいませんし、明確な教義もありません。

 EMの本質は社会運動かもしれません。EMを社会運動と考えると、従来とは異なる姿が見えてきます。
朝日新聞記事に対して株式会社EM研究機構の反論がホームページに掲載されましたが、データを伴わず多量の体験談に終始しています。
科学的な効果を問われているのに対して、体験談を並べても科学的には意味がありません。
しかし社会運動がEMの本質と考えると、体験談を多数並べることに意味が出て来るのではないでしょうか。

 EMの本質が社会運動であると考えると、様々な党派の政治家に働きかけたり、商工会やライオンズクラブに浸透している状況も理解しやすくなります。
しかし効果がない社会運動に多くの人々が巻き込まれる事は困ります。
日本の未来をになう子供たちにニセ科学が教えられる事はもっと困った事です。

 EMを社会運動と考えた場合、その思想に大きく影響を与えた人物が考えられます。
高名な環境学者であり公害問題研究家でもある宇井純氏です。
宇井氏の業績をウイキペディアから引用します。

(引用開始)日本ゼオン勤務時代、塩化ビニール工場の製造工程で使用した水銀の廃棄に関わっていたことから、水俣病の有機水銀説に衝撃を受け、大学院生時代から水俣に足を運び、合化労連の機関紙に富田八郎(とんだやろう)のペンネームで連載した記事により、水俣病の問題を社会に知らしめる発端を作った。将来を嘱望されていたが、助手就任の1965年に新潟水俣病が発生し、実名での水俣病告発を開始したため東大での出世の道は閉ざされ、「万年助手」に据え置かれた。従来の科学技術者の多くが公害企業や行政側に立った「御用学者」の活動をしてきたと批判し、公害被害者の立場に立った視点を提唱し、新潟水俣病の民事訴訟では弁護補佐人として水俣病の解明に尽力するなどの活動を展開した。
1968年から1969年にかけ、東大闘争の最も激しかった時期にはWHO研究員としてヨーロッパに留学していた。
帰国した1970年より、公害の研究・調査結果を市民に直接伝え、また全国の公害問題の報告を現場から聞く場として公開自主講座「公害原論」を東京大学工学部82番教室にて夜間に開講。 以後15年にわたって講座を続け、公害問題に関する住民運動などに強い影響を与えた。こうした活動は大学当局にとっては非公認の活動であったが、外部からは、同時期に都市工学科の助手だった中西準子とともに「東大都市工学科の良心」とみなされることもあった。
沖縄国際大学教授となっていた玉野井芳郎の呼び掛けに応じて、1986年、21年間にわたった東大助手の職を辞し、沖縄大学法経学部教授に就任。沖縄の環境問題をはじめとして世界的な環境問題に取り組むとともに、公害論の授業(月曜日2コマ及び6コマ)を担当した。(引用終)

 以下宇井純氏とEMの提唱者比嘉照夫氏を、私の視点で比較します。
プロフィールによると宇井氏はWHO研究員として1968年から1969年にかけてオランダに留学し、酸化溝という微生物を利用した廃水処理技術を学びました。
酸化溝は嫌気性菌と好気性菌を交互に使う廃水処理技術です。宇井氏は沖縄でも酸化溝の普及活動をしています。
酸化溝は廃水処理の主要な技術の一つで、いくつかのバリエーションがあります。
EMは嫌気性菌と好気性菌が共生していると説明されています。
元々微生物農業資材だったEMが廃水処理に乗り出したのは酸化溝にヒントを得たのかもしれません。

 『比嘉照夫のすべて』サンマーク出版によると比嘉氏は公害問題に関心があったそうです。
高名な公害研究家の宇井氏が沖縄大学に教授として赴任したのは1986年です。
この時比嘉氏は琉球大学教授で、農業資材としての微生物を研究していました。
宇井氏はEMに興味が無かった様ですが、比嘉氏の方は公害研究家の宇井氏に興味があったかもしれません。
そしてEMは農業資材から万能の微生物に変貌を遂げていきます。

お二人のその他の業績を比較してみます。

 宇井氏                     比嘉氏
WHO研究員                  日本WHO協会沖縄支部長(WHOと別組織)
エントロピー学会所属              シントロピーを提唱
公開自主講座「公害原論」             毎月多数の講演会を開催
国連環境計画(UNEP)「グローバル500賞」    国連で除染活動報告
NPO法人沖縄環境ネットワーク          NPO法人地球環境・共生ネットワーク
水俣病研究                  EMの癌治療への適用
自然保護活動                 EM活性液、EM団子による環境浄化活動
沖縄サミット直前に国際環境NGOフォーラム主宰  EMサミットを開催
回分式酸化溝による廃水処理          EMによる下水処理

 等々まだ色々あると思いますが、取りあえず比較は終えます。
最後にEMのお膝元沖縄で起きたトラブルについて書かれた論文と、宇井氏が留学したオランダからのEM評価論文を紹介します。
関連するまとめはこちらです。
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2012年04月17日

培地としての米のとぎ汁

米のとぎ汁で病原菌が増えやすいことが、米のとぎ汁発酵物としてウィキペディアに書かれています。
ウィキペディアで引用している文献に、米ぬかに関して興味深い事が書かれているので紹介します。
「米ぬかによる細菌の発育増殖性と莢膜の形成性について : 高頻度に分離される細菌の場合」
リンク先の右側にあるプレビューをクリックすると論文を見ることが出来ます。

細菌などの微生物を培養する時に、培地というものを使います。
培地には寒天培地と液体培地があります。
ウィキペディアで紹介しているデータは、米ぬか溶液を寒天で固めた培地での実験結果です。
実験に使った米ぬか溶液は、細菌を通さないフィルターを通していますが、加熱殺菌はしていません。

水分が少ない寒天培地では、細菌はゆっくり育ちます。
培地としての米ぬか寒天培地は、肉エキスベースの普通寒天培地より培地の性能が劣っていました。
細菌は生育しますが、普通寒天培地より時間がかかったのです。
米ぬか寒天培地の性能が低い理由は、水に溶けない米ぬか成分を分解するのに時間がかかったためと考えられます。

ところが、米ぬか溶液を液体培地として使った場合には違う結果が出ました。
動物や人間の血液をベースにした液体培地よりも、米ぬか液体培地の性能が優れていました。
細菌は血液培地よりも、米ぬか液体培地で早く元気に生育しました。

培地の原料に血液を使う事があるのは、病原菌が人間や動物の体液成分を栄養として生育するからです。
そして米ぬか液体培地で、細菌が血液中より早く元気に育つことが確認されました。
水の割合が多い液体状態の米ぬか溶液・・・米のとぎ汁は優秀な培地だったのです。

細菌にとって血液は栄養豊富で大好物ですが、免疫という邪魔者がいます。
細菌は米ぬかも大好物ですが、水分が少ないので思うように育つことが出来ません。
水分が少ないコメや米ぬかに少し水分が加わると、細菌よりも乾燥に強いカビの仲間が育ちやすくなります。

糠漬けで微生物の生育が穏やかなのは、糠床の水分がコメのとぎ汁より少ないことも理由の一つです。
糠床に炒り糠を使う事がありますが、米ぬかを炒る事で加熱殺菌出来ます。
糠漬けの発酵に必要な乳酸菌などの微生物は、野菜から供給されます。

米のとぎ汁は栄養豊富な上に邪魔な免疫もいない、微生物にとって理想的な環境です。
黒糖などの糖分を加えると、微生物は更に元気良く育ちます。
元気に育つ微生物の中に病原菌が入っていたら、どうなるでしょうか?

冒頭で紹介した文献には、病原菌が米ぬか液体培地で早く元気に育つ結果が出ています。
飲食目的に米のとぎ汁で微生物の培養を行う場合、病原菌を取り除いておかないと大変な事になりますね。
どうぞご注意願います。

参考まとめ「米のとぎ汁乳酸菌関連ツイート」
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2012年04月14日

米のとぎ汁乳酸菌と糠漬けの比較

前回と前々回、米のとぎ汁乳酸菌の危険性について書いてきました。
米のとぎ汁乳酸菌を実践している人たちに、米のとぎ汁乳酸菌は伝統的な保存食の糠漬けと同類という意見があります。
今回は米のとぎ汁乳酸菌と糠漬けを比較してみます。

1.種菌
糠漬けに糠床が必要なのは当たり前ですが、糠床は発酵のための種菌でもあります。
糠床の熟成には時間と手間がかかります。
一例として、ウイキペディアの「糠漬け」から糠床の部分を引用します。

「野菜くずを1週間ほど毎日取りかえて漬けると野菜についていた乳酸菌等が繁殖し、一応、完成である。しかし、この段階では糠床は熟成していないため、漬物の風味は少ない。野菜を漬けこみ毎日手入れすることで発酵がすすみ、風味が増していくのである。夏場なら2ヶ月、冬場なら4ヶ月ほどでおいしい糠床が完成する。」

糠床という種菌を使うことで、毎回美味しい糠漬けが出来やすくなります。
手間暇をかけた糠床を使うことは、安全性の確認を時間をかけて行う事にもなりますね。

一方、米のとぎ汁乳酸菌は種菌を使用しません。
米糠に付着した微生物と、空気中など培養する環境にいる微生物が増えることになります。

2.養分
糠漬けの場合、微生物の養分は米糠です。
米糠は水に溶けません。
微生物が米糠を栄養にするには、一度水に溶けるように分解する必要があります。
米糠を栄養にするのに手間取るので、糠漬けでは微生物が穏やかに増えます。

一方、米のとぎ汁乳酸菌では米のとぎ汁に黒糖を添加します。
黒糖は水に溶けるので、微生物はそのまま栄養として吸収出来ます。
黒糖があると、微生物は簡単に栄養を吸収して、急激に増えます。
急激に増える微生物の中に病原菌がいた場合、病原菌も急激に増えることになります。

3.摂取法
糠漬けの場合、糠を除いて漬物の野菜を食べます。
糠に有害な微生物がいたとしても、ある程度除かれます。

米のとぎ汁乳酸菌の場合、糠漬けの「糠床」に相当する部分を飲んだり吸引したりします。
豆乳に加えて豆乳ヨーグルトにする場合もあります。
米のとぎ汁乳酸菌に有害な微生物がいた場合、すべてを摂取する事になります。
摂取方法も、米のとぎ汁乳酸菌と糠漬けで大きく異なります。

以上簡単ですが、米のとぎ汁乳酸菌と糠漬けの主な相違点を述べさせて頂きました。

参考まとめ「米のとぎ汁乳酸菌関連ツイート」
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2012年04月03日

豆乳ヨーグルトと乳酸

健康食品ブームでヨーグルトが注目されています。
手作りする方もいて、ヨーグルトを作るヨーグルトメーカーという器具があります。
牛乳のヨーグルトから一歩進んで、豆乳ヨーグルトを作る人たちもいます。

ヨーグルトが固まるのは乳酸の働きです。そして乳酸といえば乳酸菌が有名です。
あまり知られていませんが、乳酸菌以外の微生物も乳酸を作ります。
正確にいうと、人間も含めたほとんどの生物は体内で乳酸を作っています。

ヨーグルトを手作りする方達に注意していただきたいことがあります。
乳酸菌以外の菌も乳酸を作り、別の菌が作った乳酸でも牛乳や豆乳が固るということです。
乳酸菌を増やすつもりで、病原菌が増えていたら大変です。

豆乳ヨーグルトを作る方の中に、「米のとぎ汁乳酸菌」から作る様に勧める人たちがいます。
前回の記事に書きましたが、米のとぎ汁を発酵させたものが乳酸菌溶液であることには疑問があります。
米のとぎ汁で病原菌が増えやすいことは、ウィキペディアにも米糠発酵物として書かれています。

食べ物の中に病原菌がいた場合でも、多くは胃酸で殺菌されます。
しかし食中毒菌などの病原菌の中には、胃酸での殺菌が十分に効かないものもあります。
食中毒菌は無臭の場合が多く、殺菌しても毒素が残って発病する場合もあります。

自家製ヨーグルトを作る場合は、食中毒にご注意下さい。

2012年4月5日追記
参考まとめ「米のとぎ汁乳酸菌関連ツイート」
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2012年03月14日

米のとぎ汁乳酸菌の問題点

先月「乳酸菌風呂」についてTogetterでまとめを作成し、このブログでも簡単な紹介をさせていただきました。
乳酸菌風呂は米のとぎ汁乳酸菌の発展型です。
米のとぎ汁乳酸菌の危険性については、多くの方が指摘していますが、問題点が十分認識されているとは言えない状況です。
「乳酸菌風呂」のベースになる米のとぎ汁乳酸菌の問題点について、改めて述べさせていただきます。

米のとぎ汁乳酸菌の作り方概要(リンクは割愛します)
・米のとぎ汁(1回め)に1%の粗塩と3%の黒糖を添加。塩と糖を添加するタイミングは1日後から3日後。
・ペットボトルなどに密閉し、室温で1週間ほど静置。日に1回から数回攪拌する。ガスが発生した場合はガス抜きする。
・開始から4〜5日後に匂いと味で成否を判定する。

米のとぎ汁乳酸菌の疑問点
・「米のとぎ汁乳酸菌」という呼び方をされていますが、本当に乳酸菌溶液なのでしょうか?
・米のとぎ汁はデンプン溶液です。一般的にデンプンには乳酸菌よりカビの仲間、真菌類が生えます。
・米にカビが生えて困った経験がある方は多いと思います。米の加工食品である餅もすぐにカビます。
・カビの仲間には有益なものもありますが、有害なものも沢山あります。
・真菌以外にも様々な微生物が生えている可能性があります。

米のとぎ汁乳酸菌は安全ですか?
・米のとぎ汁乳酸菌が安全なものかどうかを述べるためには、調査確認が必要です。
・どのような微生物がいるか調べる作業を「同定」と言います。
・例えば、一滴の水の中に1万の微生物がいたとすると、最大1万種類の微生物がいる可能性があります。
・調べようとする対象の微生物をシラミつぶしに確定していく、気が遠くなる様な作業が同定です。
・米のとぎ汁乳酸菌の提唱者側から微生物を同定したという報告はありません。
・微生物が同定されていない場合、安全性も確認されていないと言うことになります。
こちらのTogetterに米のとぎ汁乳酸菌の危険性を、専門家の方が詳しく解説されています。

米のとぎ汁乳酸菌使い方の問題点
・米のとぎ汁乳酸菌に病原体がいた場合、使い方で最も危険な行為は噴霧吸引です。
・病原体を口から飲んだ場合は、胃酸での殺菌を期待できます。O157問題で分かるように胃酸も万全ではありません。
・病原体が肺に入った場合には胃酸という防御手段がないので、重篤な病気になる危険性が高まります。
・病原体を口から飲む場合でも、乳幼児やお年寄りなど免疫の弱い方は感染症のリスクが高くなります。
・米のとぎ汁乳酸菌の発展型「乳酸菌風呂」の危険性はこちらのTogetterをご覧下さい。

米のとぎ汁乳酸菌の危険性が、より多くの方に伝わることを願います。

2012年4月5日追記
参考まとめ「米のとぎ汁乳酸菌関連ツイート」
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2012年02月28日

原発事故後の日本 知られざるもう一つの危機

もうすぐ、東日本大震災から一年になります。
2011年3月23日、大震災と福島第一原子力発電所の水素爆発で日本中が不安に怯えていたときのことです。
私はヒマワリで放射能が簡単に除去出来るという誤った情報の修正をしていました。

ヒマワリ除染の誤った情報を検索しているうちに、奇妙な資料を見つけました。
それは、放射能を微生物で消滅させるプラントのプレゼンテーション資料でした。
放射能を微生物で消滅させることなど出来るはずありません、資料作成者の目的が分かりませんでした。
不審に思いながらも、ネット上に公開することで不安と混乱を増すと思い、公表しませんでした。

そして3月29日予想もしない形、韓国中央日報の報道として資料作成者の意図を見ることになりました。
資料を作成した轄s開発工学総合研究所のサイトはこちらです。
統一教会系の団体、世界平和教授アカデミーの記事もありました。

中央日報の報道を踏まえ、轄s開発工学総合研究所の記載を引用します。
「3月22日に韓国の元科学技術部長官 李 祥羲 先生からの緊急提案が日本の外務省を通じて、菅総理、谷垣総裁、石原幹事長宛に正式に提出されました。」
韓国からの正式な外交ルートを通して、日本の政府与野党首脳に微生物で放射能を消滅するよう提案されたのです。

私にとって、世界が暗転するほどの衝撃的出来事でした。このままでは、日本がとんでもない勢力の餌食にされてしまうと思いました。
八方手を尽くした結果、ニセ科学批判クラスターの方達により、轄s開発工学総合研究所に反論が行われました。
論戦の経緯はSkeptic's Wiki 生体内原子変換を参照してください。

その後轄s開発工学総合研究所の活動はやや沈静化していますが、3月11日の東日本大震災一周年を控えて、再活性化する兆しが見えます。
多くの方が知らない、実在する危機についてお知らせする必要があると思い、この記事を書かせていただきました。

2012年3月12日追記
5月19日に轄s開発工学総合研究所が帝国ホテルで行った記者会見で、政府が轄s開発工学総合研究所の提案を無視したことを知り、安堵しました。
関連する私の参考まとめ「EMBC関連ツイート」
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2012年02月17日

乳酸菌風呂

お湯を捨てない『乳酸菌風呂』というものがあります。
大勢の人が実践していることを、偶然見つけました。
数年前に流行したマコモ風呂に類似しています。

『乳酸菌風呂』の危険性について、微生物の専門家 y_tambe先生にお聞きしてtogetterにまとめました。
是非ご覧頂き、ご注意願いたいと思います。
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2011年04月28日

ひまわりと菜の花

福島第一原子力発電所の事故で、残念な事に放射性物質が福島県内に飛散してしまいました。
地面の放射性物質を除くための方法として、表土の除去、下の土と混ぜる、植物の利用の3種類の方法が考えられています。
ひまわりや菜の花などの植物を利用した汚染物質除去法・ファイトレメディエーションは、当初誤った情報が拡散しました。
情報修正に私も係わらせて頂きました。
現在では、大勢の研究者の方やNPOが、効果的なファイトレメディエーション実施を呼びかけています。
協力したいとお考えの皆さんの参考にして頂きたいと思い、
ファイトレメディエーションに関して重要と考えられるサイトを下記にまとめました。

1.ファイトレメディエーションの実績がある団体
 NPO(特定非営利活動法人)チェルノブイリ救援・中部
 http://www.chernobyl-chubu-jp.org/
 土壌汚染をどうするか?
 http://www.chernobyl-chubu-jp.org/_userdata/Q&A0401.pdf

2.ファイトレメディエーションを呼びかけている団体・研究機関
 宇宙航空研究開発機構JAXA ISASメールマガジン 第342号
 http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2011/back342.shtml
 宇宙農業サロン
 http://surc.isas.ac.jp/space_agriculture/
 ヒマワリプロジェクト(himawariproject311)
 https://sites.google.com/site/himawariproject311/home
 NPO法人 ASE自然農業会
 https://sites.google.com/site/aseagri/

 NPO法人WINEP(植物鉄栄養研究会)WINEPブログ
 http://moribin.blog114.fc2.com/
 放射能汚染土壌の除染は無カリウム処理のヒマワリで行ったらどうか(提案1)
 http://moribin.blog114.fc2.com/blog-date-201103-8.html
 ヒマワリプロジェクトを提案する(提案8)(4月29日追加)
 http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1045.html#comment232

 福島ひまわりプロジェクト
 http://himawari-fukushima.info/

3.ファイトレメディエーション関連の情報
 福島県農林水産部「がんばろうふくしま!」農業技術情報
 http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/ 

 独立行政法人 土木研究所 寒地土木研究所
 http://www.ceri.go.jp/contents/news/20110322.html

 社団法人日本土壌肥料学会
 http://jssspn.jp/info/secretariat/

 excitニュース 福島第1原発事故、植物による土壌浄化に関する国内専門家の見解
 http://www.excite.co.jp/News/science/20110419/Sugomori_5747.html

 北海道大学大学院農学研究院助教 渡部敏裕先生のホームページ
 http://www.geocities.jp/watanabe1209/index.htm
 
 財団法人・環境科学技術研究所のホームページより
 「 I.放射性物質等の環境影響等環境安全に関する調査研究」(4月29日追加)
 http://www.ies.or.jp/japanese/research/00seika_21.html
 http://www.aomori-hb.jp/houkoku/H22_01.pdf

補足
ひまわりがセシウムやストロンチウムを、他の植物より多く蓄積する理由について述べられた文献が見当たりませんでした。
データに基づくものではありませんが、私の個人的考えを述べさせて頂きます。
ひまわりは、背が高く、茎も太いので揚水力が大きいのではないでしょうか。
他の植物よりも多くの水を吸い上げて、葉から蒸散させた結果、多くの物質を蓄積させている様に思われます。
背が高く、茎が太い一年草という点で、ひまわりはファイトレメディエーションに適していると思います。

4月29日追記
渡部敏裕先生のホームページを見ると、ファイトレメディエーションに適した植物種は検討の余地がありそうです。
【臨時】植物のセシウム(Cs)とストロンチウム(Sr)集積に関する研究
 http://www.geocities.jp/watanabe1209/Topics/CsSr.htm
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2011年03月23日

原子炉事故とヒマワリ

福島第1原子力発電所では、原子炉及び燃料棒の冷却作業が、懸命に続いています。

3月21日に原子力事故に関連して、Twitter上で気懸りな出来事がありました。
ヒマワリを植えて、放射性物質を取り除こうという呼びかけがあったのです。
この呼びかけは、誤解を招く危険があると思いました。

生物の体内に、放射性物質が蓄積する事があるのは知られています。
しかし、生物が放射性物質を分解することは出来ません。
上記の呼びかけで、放射性物質が分解除去されるというイメージが広がる危険があると思いました。
当日の内に、Twitter上の発起人に修正を求め、一応の終息を見ました。

翌日、ヒマワリと放射能汚染の関係を調べました。
おおもとの資料と思えるものは、独立行政法人 土木研究所 寒地土木研究所の下記資料でした。
寒地土木研究所月報646 2007年3月号解説「ファイトレメディエーション(植物を用いた地盤の浄化法)について」

植物の金属吸収能力を利用した浄化方法について紹介したものです。
放射線に係わる部分は以下の通りです。
「ヒマワリがセシウム137を根に、ストロンチウム90を花に蓄積することが判明し、危険性が失われるまで30年以上かかる放射性物質を20日間で95% 以上も除去できる能力を有する結果が得られている。」
この記述は、ヒマワリが根から水分と共に金属を吸収し、根と花に放射性物質を含む金属が蓄積することを意味しています。

私は寒地土木研究所にメールで、ヒマワリが放射性物質を分解するものではないという補足をしていただくよう依頼しました。
幸いにも当日夜、寒地土木研究所で、ホームページ上に発表していただけました。
ヒマワリが放射性物質を吸収した後、放射性物質としてのヒマワリの処理が必要なことも書かれています。

この時点で気になって「ヒマワリ 95% 放射性物質」とグーグル検索してみました。
すると、16,800件ヒットし、ほとんどが当日書かれたブログでした。
すでに数字が一人歩きして急速に広まっていました。
ネットの情報拡大スピードに圧倒されます。

私は寒地土木研究所に再度メールで次のことを補足していただくように依頼しました。
1.ヒマワリが吸収できるのは根の周囲だけであること(空気中や地中深くは含まないこと)。
2.原子炉事故で放出される放射性物質は多くの種類があり、その中の2種類での成果であること。

寒地土木研究所で補正を入れてもらえるとしても明日になってしまいます。
このブログを書いている時点、23日午前3時で確認すると、グーグル検索で41,000件ヒットしました。

誤った情報は過大な期待を抱かせてしまいます。
そして大きな失望となって帰ってきます。
被災地の皆さんにも更なる負担と失望をもたらすかも知れません。

私のブログでの情報発信は微力ですが、何とか誤った情報を修正する一助にしたいと思います。
情報修正を、どうかよろしくお願い申し上げます。

3月25日追記

寒地土木研究所のファイトレメディエーションの説明で「30年、20日、95%」という数字が出ています。
この数字は半減期が30年のセシウム137の95%を20日で濃縮したデータがあることを述べてます。
30年が20日に短縮されたわけではありません。
チェルノブイリでは、ヒマワリを栽培しても25年近く一般人が立ち入り出来ませんでした。

この事を読み間違えると、30年かかる事が20日で出来てしまうという誤った希望を抱いてしまいます。
被災地の方々が放射性物質はすぐに無くなる、もと通りの生活に戻れると思い、そのあとで間違いだったと知った時の事を考えてください。
どれほど大きな絶望感に襲われるか、どうか考えてください。

被災地の方々はとても悲惨な体験をしています。
誤った善意に基づく『人災』で被災地の方々を悲しませないでください。
伏してお願い申し上げます。



補足)
私のブログを読んだ上でヒマワリを植えたいと考えている方達へ。
種まきや施肥をする際に、汚染された地域に入る必要があります。放射線防護服などの対策が必要です。
ご自身の安全確保をどの様に行なえば良いか、今一度よく考えて計画と準備を行なってください。


日本テレビの「特命リサーチ200X」でヒマワリの効果を見たという意見を頂きました。

ご指摘がありましたので「人間」を「一般人」に改めさせていただきました。

チェルノブイリに一般人が入れるようになったのは事故後15年ではなく25年近くあとでした。訂正いたします。
ウィキペディアの抜粋を転載します。
「訪問 2010年12月21日より、ウクライナ政府は正式にチェルノブイリ原子力発電所付近への立ち入りを許可した。本来は発電所から半径30km以内はそれまで立入禁止であった。ウクライナ政府が正式にこのような許可を発表したのは、現在は発電所付近の放射線レベルが低くなったためとの発表があったためである。キエフからはツアーが催行されている。無人の土地となった現地一帯は、野生動物の宝庫となっている。」


ファイトレメディエーションについて調べた方のブログを紹介します。

「ヒマワリがセシウム137、ストロンチウム90を吸収することについての元論文解説」をトゥギャってます。

詳細な資料、NPO(特定非営利活動法人)チェルノブイリ救援・中部のサイトを紹介していただきました。(※「土壌汚染をどうするか?!」という部分です)
植物栽培の前に汚染状況の調査が必要である事、土を越すと汚染を広める可能性がある事など、その通りだと思います。
チェルノブイリ救援・中部の4月1日時点での意見

『寒地土木研究所月報646 2007年3月号解説「ファイトレメディエーション(植物を用いた地盤の浄化法)について」の修正について』ひまわりの水耕栽培でのデータである事が記載されました。より正確な表現ありがとうございます。

すでにヒマワリの種蒔き運動が、複数立ち上がり具体的な行動が起きています。

グーグル検索での「ひまわり 放射」ヒット数
3月26日08時:1,310,000 件 急速に拡大中です。
3月26日21時:1,320,000 件 拡散スピードは落ちましたが、誤解したままの方が大勢います。
3月27日09時:1,620,000 件 情報拡散中です。

4月5日 「放射性物質と放射線」の記事を書きました、ご参照ください。

4月10日 今朝の朝日新聞5面の記事抜粋。
「福島県飯館村の菅野村長が9日同村を訪れた鹿野農水相に、バイオマス燃料の原料になるヒマワリやナタネの作付けを提案。農水省内にも作付け可能な作物を検討すべきだとの意見が出ている。」
チェルノブイリ原発にも触れています。行政の本格的な対応を期待します。


4月28日 「ひまわりと菜の花」の記事を書きました、ご参照ください。

6月3日
週刊実話に「放射能を20日間で95%除去するヒマワリの能力」と言う記事がでたそうです。
改めて誤解が広まりそうです。

ファイトレメディエーション関連で5月27日に記事を追記しました。「放射性セシウムの土壌への吸着と遊離」水耕栽培についても書いています。ご参照ください。

セシウムとストロンチウムは重金属ではなく金属でした。訂正します。

2012年3月19日
「原子炉事故とヒマワリ」後日談をまとめました。
posted by Breathingpower at 03:07| Comment(36) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする