諫早湾の潮受け堤防が閉じられたことで生じた漁業被害に対して、EMで回復出来るとされ、多くの自治体でEMが採用されています。
これに関連して、EM開発者の比嘉照夫氏は『水門をあけさせないための活動です。』と話しています。
この発言は、EM普及活動の目的は干拓を推進することであり、環境活動は名目ではないかという疑問に繋がります。
詳細はOSATOさんのブログと私のまとめを参照してください。
開門反対のためのEM活動???
EMジャブジャブ作戦
第一の既視感
私は比嘉氏の発言を見て既視感を覚えました。
EMの普及活動をする人たちは、潮受け堤防が閉じられたことで被害を受けた漁業関係者に、優しく寄り添います。
『EMで豊かな海を取り戻せる』と希望をもたらします。
豊穣の海を失い、追い詰められた人たちは、藁をもすがる思いでEMに頼った事でしょう。
EMで海を回復出来るという話は、干拓を推進する人たちにとっても望ましい話だった筈です。
EMを普及させれば、海を汚したという批判を受けなくてもよくなるからです。
ただし、EMが海を回復出来るという科学的根拠が示されていないことには留意する必要があります。
有明海周辺でのEM普及活動は、福島第一原子力発電所事故後、福島県で起きたEMの放射性物質除染活動と良く似ています。
EMによる除染についてはフジテレビがEM菌報道番組を製作しています。
フジテレビ記者のインタビューを受けた被災者たちは、政府も自治体も助けてくれない状況で、EMに希望を見出したと話します。
生きていく希望が持てたと、涙ぐみながら話す人もいました。
番組内では実測データや専門家の意見が紹介され、EMによる除染に効果がないことが次々に明らかになりました。
この結果に対して、インタビューを受けた比嘉氏の説明は二転三転し、結局EM除染の根拠はありませんでした。
不思議なことに、EMで除染出来るという根拠が無いにもかかわらず、福島県内では行政やマスコミからのEM批判は起きませんでした。
EMに関わる余裕が無かったためだとは思いますが、中にはEM除染を放置することで、住民の不安を和らげる効果があると考えて、容認した人たちがいるかもしれません。
原子力発電所のあり方に対しては、推進する人、反対する人、容認する人、それぞれに考え方が大きく異なっています。
ですが、すべての皆さんに知っていてほしい事があります。
EMを製造販売しているEM研究機構は、『原子炉』の登録商標を特許庁から取得しているという事実です。
原発に反対する企業が、原子炉の商標を持つことなど、有り得るのでしょうか?
EMは被災者に寄り添う姿勢を示していますが、EM除染は原発推進にも都合がよいのではないでしょうか。
そして、EM除染を信じる人がいる限り、除染目的のEM商品を売り続けることが出来ます。
第二の既視感
諫早湾の潮受け堤防開門に関して、賛成する漁業団体と反対する農業団体がそれぞれ裁判を起こしています。
諫早湾の潮受け堤防開門に関する裁判があることを知って、ある事件を思い出しました。
EM発祥の地・沖縄県で、EMがどの様に地歩を築いたかを調べた吉野航一氏の研究が、宗教と社会誌に掲載されています。プレビューをクリックすると全文読めます。
沖縄における「EM(有用微生物群)」の受容 : 公的領域で語られたEM言説を中心に
多少強引に要約すると、EMに対しては様々な批判があり、県農業試験場での否定的な結果が繰り返し出されたにも関わらず、沖縄県の地域振興策に制定され、政治的な地位を先に築いてしまい、九州沖縄サミットを通じて、国策にまで取り上げられてしまったと言えます。
その過程で、ニセ科学が地位を固める状況に危機感を覚えた具志川市(現うるま市)の住民グループが、EM資材を使った建築物に対して損害賠償請求の裁判を起こしました。
裁判所は、EMが混入したコンクリートでも建築基準法の基準を満たす事、EMが非科学的であることを証明する書類が提出されなかった事、を根拠に住民グループの訴えを退けました。
住民グループはその後も訴訟を続けましたが、EMの建築費に占める割合が1%程度であること、EMがうるま市の雇用に寄与していることなどを根拠に、敗訴しました。
政治的な支援を受けた企業に対して住民が戦うことの困難さを物語る出来事でした。
結び
諫早湾の潮受け堤防に関しては2013年の12月までに開門して調査することが決まっていますが、開門に反対する人たちからの訴訟もあり、実施されるかどうか予断を許しません。
開門に賛成する人、反対する人、両方の皆さんに知っていてほしい事があります。
冒頭の比嘉氏の発言にもある通り、EMを有明海周辺で使う目的は、開門を止める為の口実だという点です。
そして、開門されない限り、環境浄化用資材としてEMの販売を続けることが出来ます。
EMの効果は科学的なものではなく、名称による商品イメージです。
政治力を駆使してEM商品を売る比嘉氏は、『政商』と呼ぶべき存在でしょう。
政商の甘言に惑わされ、亡国の道を進むことがありませんよう、皆様にお願いします。
比嘉さんの発言にはいつも驚かされ続けでいい加減慣れてきた所ですが、さすがに今回の発言には言及せざるを得ませんでした。
EM活動の特徴として、まず初めは個人レベルのボランティアから始まり、それが周囲を巻き込んで広がると拙ブログエントリーで述べましたが、問題はそういった状況の比嘉さんの受け取り方なのです。
比嘉さんは一部の【ちょっとした成功例】だけを見て、それが全体の姿であると思い込むくせがあります。
そして今度はそれを自分の中で一つのストーリーとして作り上げ、それをEMの成果として大々的に皆の前で発表し、それがまた全国のユーザーに発信されウェブにも載り、こうして『EMの幻想』が形作られる訳です。
今回の発言についても、果たしてどこまで真実なのか彼の幻想なのか、それがいまいちはっきりしないのです。
確かに諫早湾の水門開放に長崎県は反対してますが、EM投入している人達の姿を見ても、彼らはただ純粋に周りの環境が良くなる様願っているだけのように見えます。↓
http://emnagasaki.jp/scon_irengo001.htm
この姿を比嘉さんは、
「水門をあけさせないための活動です。」
と述べたのです。
これは実は、ようやく県全体にEMが浸透した事を受け、開門反対の立場をとる県の方針も知り、
「長崎県全体でEMが普及したのは、開門せずとも環境は良くなる事を示すためであり、住民達は皆それを証明するためEMを用いているのだ。」
と、彼が勝手に解釈しているだけとも思えるのです。
もしそうだとしたら、純粋に環境が良くなる様願っている人を彼は愚弄している事になるのですが、EMしか見えていない彼に、そこまで気を巡らすのを望むのは無理なのでしょうね。
ご紹介頂いたEM長崎の記事が印象的です。
EMの人たちは、EM団子を「元気玉」と呼ぶことがあります。
ドラゴンボールの元気玉は、世界を守りたいという人々の願いを少しずつ集めたものでした。
EM団子にも人々の善意が集まっているのだと思います。
子供たちも一生懸命にEM団子を作っています。
この善意が換金されるという現実には、思わず目を背けたくなります。
環境浄化用資材としてEMの販売を続けることが出来ます。>どこの誰にどのくらい販売したというのでしょう?
事実を調べたのでしょうか?
水質浄化に関することであれば、要望に添い、EM資材は無償提供され、ボランティアが培養し投入しているのではありません?
お確かめになってから、記事を書いたほうがよろしいように思います。
仲間内では盛り上がることができるかもしれませんが、真意性に欠けます。
環境浄化用資材としてEMの販売を続けることが出来ます。>どこの誰にどのくらい販売したというのでしょう?
事実を調べたのでしょうか?
水質浄化に関することであれば、要望に添い、EM資材は無償提供され、ボランティアが培養し投入しているのではありませんか?
お確かめになってから、記事を書いたほうがよろしいように思います。
仲間内では盛り上がることができるかもしれませんが、真意性に欠けます。