このイベントで配布された当日配布資料(pdf)にEM開発者・比嘉照夫氏の興味深い発言がありました。
比嘉氏発言の重要部分
『EMが普及し始めた1990〜1995年に、各国の検査機関から81種を確認することは人的、予算的にも無理があるとの提案を受け、最終的には生産者的役割を果たす、嫌気性の光合成細菌と発酵分解機能を持つ乳酸菌と酵母が存在すること。それ以外のものは自然界からの飛び込みでも効果は認められることから、特に検出する必要はないとする現在の原型が定着した背景がある。』
EMとは何か?
EMを構成する微生物に関しては、EMの可能性にも書いた様に、その詳細が不明でした。
今回、EMを構成する微生物の一部について、開発者の比嘉氏が述べました。
相変わらず具体的な菌の学名は不明ですが、3系統の微生物がいればEMと呼べることが判りました。
光合成細菌、酵母、乳酸菌は、自然界に広く存在している微生物です。
比嘉氏が『自然界からの飛び込み』を認めている以上、菌の株まで判らなければ、どこまでがEMかを判断することは出来ません。
酵母と乳酸菌に関しては、空気中、水中、土中、作物の表面などに広く分布しています。
むしろ酵母と乳酸菌の存在しない環境を作り出し、維持する事の方が困難です。
また、日本土壌肥料学会の報告(pdf)のp.10によるとEMに含まれる微生物を分析した結果、光合成細菌は存在しませんでした。
これに対して、世界救世教系の財団法人・自然農法センターから特殊な培養方法と継体培養の組み合わせで光合成細菌を分離同定出来るという反論もありました。
自然農法センターの報告は、通常の培養ではEM中の光合成細菌は検出されないと述べる意味もあります。
EMの一般的な使用方法では、光合成細菌を利用出来ない事になってしまいます。
結び
今回の比嘉氏によるEMの説明は、EMには特定の微生物と呼べる実態が無いと述べている様に思えます。
むしろ、pH3.5以下の条件を生み出す培地組成にEMの企業機密がありそうです。
それは、公開されているEM活性液の培養方法に近いもの(pdf)なのかもしれませんし、秘密の成分が何かあるのかもしれません。
何れにしても、EMの本質が科学的に証明出来る事実ではなく、言葉の持つイメージ『言霊』であるという印象を強めた出来事でした。
追記)
この記事に寄せられたツイッターの感想をまとめました。
EMのカミングアウトへの感想