被災地がニセ科学であるEMの餌食になる事態を防ぎたいと思いますが、容易ではありません。
EMの戦略を理解する事が大切だと思いますので、過去に起きたニセ科学批判者とEMの攻防を振り返ってみましょう。
第1回戦
日本土壌肥料学会 (Skeptic's Wiki EM菌(有用微生物群)より)
『日本土壌肥料学会は1996年に「微生物を利用した農業資材の現状と将来」をテーマにしたシンポジウムを開き、EMを検証し、「評価に耐えるものではない」とする見解を明らかにしている。』
EMの反撃
土壌肥料学会の検証の舞台となったタイ国に対し、世界救世教系の自然農法国際研究開発センターと供にEMの普及活動を実施。
現在はタイ政府及びタイ軍にまでEMの影響が及んでいる。
第2回戦
岡山県環境保健センター (2012年7月1日、朝日新聞青森の記事より)
『岡山県環境保健センターは1997年度、EM菌は水質浄化に「良好な影響を与えない」と報告。実験用の浄化槽にEM菌を加えて600日間観察したが、EM菌のない浄化槽と同じ能力だった。』
EMの反撃
ライオンズクラブ(336-B地区 鳥取県・岡山県)を通して岡山県下の小中学校にEMを普及させた。
アンケート集計結果に表されている様に各校がEMの普及活動を競っている。
第3回戦
2002年三重県によるEM実証試験の結果 【杜の里からEMへの疑問(12) 〜ちゃんと検証しているの?(追補)〜 (追記あり)】
『海域底質中の細菌の群集構造について、PCR-DGGE 法を利用しバンドパターンから検討した。その結果、EM活性液中の細菌に相当するバンドが室内実験及び実証実験フィールド試料の底質から確認されなかった。このことから、添加したEM 活性液中の細菌は、優占種としてこれら両底質に定着していない可能性が高いと考えられる。』
EMの反撃
EMの中核企業EM生活が名古屋市を本拠地とし、市民グループと協力して勢力を拡大。
愛知県と三重県はEMの国内最大拠点となった。
第4回戦
広島県保健環境センター
『広島県は2003年にEMは河川の汚染源と発表』
EMの反撃
現在は当時の資料が削除され、広島県のホームページにNPO法人広島EM普及協会が紹介されてる。
第5回戦
福島県環境センター
『「県が初の見解「EM菌投入は河川の汚濁源」 2008年3月8日 福島民友ニュース』
EMの反撃
NPO法人EM・エコ郡山が県内の企業・市民団体にEMを普及させた。
現在は福島県のホームページにEM系企業が紹介されている。
上記以外にも各地でEMと批判者の対立が起きていますが、経過の判り易いものをピックアップしました。
ニセ科学批判者とEMが噛み合わない戦いを続けている現状をご理解頂けたでしょうか。
社会的な影響という点で考えるとEMの連戦連勝、EM提唱者・比嘉照夫教授の高笑いが聞こえて来る様です。
EMはニセ科学批判者との対決を避け、ニセ科学の本質を隠して市民団体、学校、自治体に深く浸透しています。
EMと対峙するにはEMの戦略を理解し、非科学的なニセ科学だからと過小評価しないことが大切だと思います。