2013年07月31日

EM団子の危険性

 九州北西部の有明海周辺で、EM(有用微生物群:通称EM菌)を使用するEMジャブジャブ作戦という環境運動が行われています。
EMジャブジャブ作戦は、諫早湾の潮受け堤防開門調査に反対するために行われていることが、EMの問題点を長年指摘しているOSATOさんの調べで判りました。
開門反対のためのEM活動???
私もEMジャブジャブ作戦に関して、福島県と沖縄県の事例と比較したブログを書きました。

OSATOさんのコメント
 私がEMジャブジャブ作戦に関して書いたブログに、OSATOさんからコメントを頂きました。
コメント内容は、有明海周辺の自治体で広くEMジャブジャブ作戦が行われている事と、長崎県が開門調査に反対している事から、EM開発者の比嘉照夫氏が脳内で、EMジャブジャブ作戦と開門調査反対を結びつけたストーリーを作った可能性の指摘でした。
さすがに比嘉氏を長年調べているOSATOさん。比嘉氏の心理として可能性が高そうに思えます。
 OSATOさんのコメントには、諫早市でEM製品を販売しているEM販売長崎の紹介も有りました。
非常に印象深いサイトで、農水省諫早湾工事事務所の協賛と諫早市教育委員会の後援を受け、EM団子を諫早湾調整池に投入する活動の報告が書かれていました。
一生懸命にEM団子を作った子供たちの作文も寄せられていました。

EM団子とアオコ
 EM団子はEM環境活動をしている人たちが、河川や海などの環境改善効果があると主張して投入しています。
諫早湾の調整池でどの様な環境問題があるか検索したところ、毒性の強いアオコの発生が報告されていました。
EM開発者の比嘉氏は、連載コラムでEM団子でアオコを消失させたと書いています。
EM団子の主成分は米ぬかを加工したEMボカシですが、EMボカシだけでは水中に沈み難いためEMボカシ5gに対して95gの土を加えています。その他の成分と製造法はpdfを参照してください。(pdf1,pdf2
この組成のため、EM団子を湖沼に投入すると速やかに水底に沈みます。

EM団子によるアオコ抑制の検討論文
 アオコは生物学用語でシアノバクテリアと呼ばれています。
シアノバクテリア対策にEM団子を使う効果について、国内の論文は見当たりませんが、海外では詳細に調べた査読付き論文が発表されています。
オランダWageningen大学Miquel Lurling氏たちの「SHALLOW LAKES Cyanobacteria blooms cannot be controlled by Effective Microorganisms (EMR) from mud- or Bokashi-balls」という論文です。
 論文内容の概略を紹介します。
浅い湖のアオコ汚染で苦しむオランダで、オランダEM協会がEM団子でアオコ対策出来ると提案しました。
オランダ当局はオランダEM協会の提案を断りましたが、オランダEM協会の主張に科学的な根拠が見当たらないため、Miquel Lurling氏たちが検討しました。
Miquel氏たちは、藻類用の培地にオランダEM協会が提示する範囲を越えた濃度までEM団子の比率を変えて加え、湖から採取した藻類の増殖抑制効果を検討しました。
その結果、ほとんどの濃度でEM団子にシアノバクテリア増殖を抑制する効果は有りませんでした。
EM団子でシアノバクテリアを消滅させるためには、光を通さないほど多量のEM団子が必要でした。
この条件では、シアノバクテリア以外の藻類も生きていけなくなりました。
 Miquel氏たちは、アオコ問題が発生している湖の水にEM団子を添加する検討も行っています。
藻類用の培地を使うよりも、より湖の状況に近い状態で検討したところ、EM団子を加えるとシアノバクテリアが多くなるという結果でした。
オランダEM協会の主張と逆の結果だったのです。
この結果についてMiquel氏たちは、EM団子がシアノバクテリアの増殖に必要なリンを供給したためと考察しています。

EM団子の危険性
 Miquel氏たちの検討結果から、湖にアオコが発生した場合、EM団子を投入すると、アオコによる環境汚染が進行する可能性があることになります。
EM販売長崎とNPO法人諫早市連合婦人会は平成17年から諫早湾にEM団子を投入しています。
アオコの増殖にはリンが必要ですが、家庭排水などから供給されるリンの量は変動が大きいでしょう。
それに対して、EM団子は安定したリンの供給元になります。
環境浄化のためにEM団子投入を続けている人たちには大変残念な事ですが、EM団子が調整池と有明海の環境汚染を促進していた可能性は否定出来ません。
 ただし、以上のことはMiquel氏たちの報告が諫早湾の調整池にも当て嵌まった場合です。
実際にどの様な結果になっているのかは、EM団子投入前後の状況を再現し、アオコの増減を調べる必要があります。
諫早湾潮受け堤防開門調査に関しては、賛成する人たちと反対する人たちの深刻な対立があります。
ですが、調整池のアオコを減らしたいという点で、ほとんどの方の意見は一致すると思います。
反対する人物がいるとすれば、EM関係者だけでしょう。
 Miquel氏の論文で、一つ残念な事があります。
それは、この論文がEM発祥の地・日本ではなくオランダで書かれたということです。
EM団子は諫早湾の調整池だけではなく日本全国の河川、湖沼、海に投入されています。
さらに海外でも多くの国々でEM団子が投入されています。
今は顕在化していないというだけで、実際にはアオコの毒による被害が起きているのかもしれません。
私たち日本人の手で、EM団子の危険性を明かにする必要があるのではないでしょうか。

結び
 アオコ=シアノバクテリアは藍藻、あるいは藍色細菌とも呼ばれます。
シアノバクテリア(藍色細菌)は光合成する細菌、すなわち光合成細菌の一種です。
EM開発者の比嘉氏が、EMは乳酸菌と酵母と光合成細菌を共存させていると主張しています。
光合成細菌を共生させているとされるEMが、同じ光合成細菌のアオコを死滅させることが出来るのでしょうか。
比嘉氏は微生物資材を販売しながら、微生物その物には関心を持っていないのではないか?
奇妙な事ですが、私にはそう思えてなりません

2013年8月8日追記)
 国土交通省「第4回 鹿野川ダム水質検討会」資料(pdf)によると、EM団子1g中に5.8mgのリンが含まれています。
EM環境活動をしている人たちは、諫早湾調整池に100万個のEM団子を投入する計画を立てていました。
実施されたとすると、膨大なリンが投入されたことになります。
関連するまとめ、有明海・諫早湾・環境問題のまとめを作成しました。

2013年12月2日追記)
 2013年12月1日の日本科学者会議東京支部第17回東京科学シンポジウム:ニセ科学問題分科会に参加された農学系の微生物研究者の方からメールをいただきました。
以下に転記します。貴重なご意見と解説、ありがとうございます。

呼吸発電 様

拝啓

 先日の東京科学シンポジウムでのご発表を拝聴し,EMがまだ生き延びていると知っ
てブログを拝見いたしました。
 EMがここまではびこっているとは,驚きでした。専門家として不明を恥じます。

 「EM団子の危険性」の記事で,やや不正確な表現がありましたので,ご指摘しま
す。ブログページから投稿しようとしたらエラーが出てしまいましたので電子メール
でお送りします。

「光合成細菌を共生させているとされるEMが、同じ光合成細菌のアオコを死滅させる
ことが出来るのでしょうか」のところはちょっと不正確です。比嘉氏らEM信者が言っ
ている光合成細菌は酸素非発生型(水素供与体として硫化水素H2Sなどを使う)のも
ののようです。アオコ(シアノバクテリア)は酸素発生型(水素供与体として水H2O
を使う)です。光エネルギーを使って炭酸固定をする点では「同じ」ですが,両者は
水素供与体・生息域が異なります。

○○○○
○○大学大学院
○○研究室

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2013年07月29日

EMと2つのデジャヴ

 EM(有用微生物群:通称EM菌)の普及活動を行っている推進団体は全国にありますが、九州の有明海周辺でのEM普及活動について、興味深い出来事がありました。
諫早湾の潮受け堤防が閉じられたことで生じた漁業被害に対して、EMで回復出来るとされ、多くの自治体でEMが採用されています。
 これに関連して、EM開発者の比嘉照夫氏は『水門をあけさせないための活動です。』と話しています。
この発言は、EM普及活動の目的は干拓を推進することであり、環境活動は名目ではないかという疑問に繋がります。
詳細はOSATOさんのブログと私のまとめを参照してください。
開門反対のためのEM活動???
EMジャブジャブ作戦

第一の既視感
 私は比嘉氏の発言を見て既視感を覚えました。
EMの普及活動をする人たちは、潮受け堤防が閉じられたことで被害を受けた漁業関係者に、優しく寄り添います。
『EMで豊かな海を取り戻せる』と希望をもたらします。
豊穣の海を失い、追い詰められた人たちは、藁をもすがる思いでEMに頼った事でしょう。
EMで海を回復出来るという話は、干拓を推進する人たちにとっても望ましい話だった筈です。
EMを普及させれば、海を汚したという批判を受けなくてもよくなるからです。
ただし、EMが海を回復出来るという科学的根拠が示されていないことには留意する必要があります。
 有明海周辺でのEM普及活動は、福島第一原子力発電所事故後、福島県で起きたEMの放射性物質除染活動と良く似ています。
EMによる除染についてはフジテレビがEM菌報道番組を製作しています。
フジテレビ記者のインタビューを受けた被災者たちは、政府も自治体も助けてくれない状況で、EMに希望を見出したと話します。
生きていく希望が持てたと、涙ぐみながら話す人もいました。
番組内では実測データや専門家の意見が紹介され、EMによる除染に効果がないことが次々に明らかになりました。
この結果に対して、インタビューを受けた比嘉氏の説明は二転三転し、結局EM除染の根拠はありませんでした。
 不思議なことに、EMで除染出来るという根拠が無いにもかかわらず、福島県内では行政やマスコミからのEM批判は起きませんでした。
EMに関わる余裕が無かったためだとは思いますが、中にはEM除染を放置することで、住民の不安を和らげる効果があると考えて、容認した人たちがいるかもしれません。
 原子力発電所のあり方に対しては、推進する人、反対する人、容認する人、それぞれに考え方が大きく異なっています。
ですが、すべての皆さんに知っていてほしい事があります。
EMを製造販売しているEM研究機構は、『原子炉』の登録商標を特許庁から取得しているという事実です。
原発に反対する企業が、原子炉の商標を持つことなど、有り得るのでしょうか?
EMは被災者に寄り添う姿勢を示していますが、EM除染は原発推進にも都合がよいのではないでしょうか。
そして、EM除染を信じる人がいる限り、除染目的のEM商品を売り続けることが出来ます。

第二の既視感
 諫早湾の潮受け堤防開門に関して、賛成する漁業団体と反対する農業団体がそれぞれ裁判を起こしています。
諫早湾の潮受け堤防開門に関する裁判があることを知って、ある事件を思い出しました。
 EM発祥の地・沖縄県で、EMがどの様に地歩を築いたかを調べた吉野航一氏の研究が、宗教と社会誌に掲載されています。プレビューをクリックすると全文読めます。
沖縄における「EM(有用微生物群)」の受容 : 公的領域で語られたEM言説を中心に
多少強引に要約すると、EMに対しては様々な批判があり、県農業試験場での否定的な結果が繰り返し出されたにも関わらず、沖縄県の地域振興策に制定され、政治的な地位を先に築いてしまい、九州沖縄サミットを通じて、国策にまで取り上げられてしまったと言えます。
 その過程で、ニセ科学が地位を固める状況に危機感を覚えた具志川市(現うるま市)の住民グループが、EM資材を使った建築物に対して損害賠償請求の裁判を起こしました。
裁判所は、EMが混入したコンクリートでも建築基準法の基準を満たす事、EMが非科学的であることを証明する書類が提出されなかった事、を根拠に住民グループの訴えを退けました。
住民グループはその後も訴訟を続けましたが、EMの建築費に占める割合が1%程度であること、EMがうるま市の雇用に寄与していることなどを根拠に、敗訴しました。
政治的な支援を受けた企業に対して住民が戦うことの困難さを物語る出来事でした。

結び
 諫早湾の潮受け堤防に関しては2013年の12月までに開門して調査することが決まっていますが、開門に反対する人たちからの訴訟もあり、実施されるかどうか予断を許しません。
開門に賛成する人、反対する人、両方の皆さんに知っていてほしい事があります。
冒頭の比嘉氏の発言にもある通り、EMを有明海周辺で使う目的は、開門を止める為の口実だという点です。
そして、開門されない限り、環境浄化用資材としてEMの販売を続けることが出来ます。
EMの効果は科学的なものではなく、名称による商品イメージです。
政治力を駆使してEM商品を売る比嘉氏は、『政商』と呼ぶべき存在でしょう。
政商の甘言に惑わされ、亡国の道を進むことがありませんよう、皆様にお願いします。
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2013年07月24日

EMのカミングアウト

 EM(有用微生物群:通称EM菌)の普及運動をしているNPO法人地球環境・共生ネットワーク(U-net)から、2013年7月13日に開催された「EMオープンワールド'13 in 広島」についての報告がありました。
このイベントで配布された当日配布資料(pdf)にEM開発者・比嘉照夫氏の興味深い発言がありました。

比嘉氏発言の重要部分
『EMが普及し始めた1990〜1995年に、各国の検査機関から81種を確認することは人的、予算的にも無理があるとの提案を受け、最終的には生産者的役割を果たす、嫌気性の光合成細菌と発酵分解機能を持つ乳酸菌と酵母が存在すること。それ以外のものは自然界からの飛び込みでも効果は認められることから、特に検出する必要はないとする現在の原型が定着した背景がある。』

EMとは何か?
 EMを構成する微生物に関しては、EMの可能性にも書いた様に、その詳細が不明でした。
今回、EMを構成する微生物の一部について、開発者の比嘉氏が述べました。
相変わらず具体的な菌の学名は不明ですが、3系統の微生物がいればEMと呼べることが判りました。
 光合成細菌、酵母、乳酸菌は、自然界に広く存在している微生物です。
比嘉氏が『自然界からの飛び込み』を認めている以上、菌の株まで判らなければ、どこまでがEMかを判断することは出来ません。
酵母と乳酸菌に関しては、空気中、水中、土中、作物の表面などに広く分布しています。
むしろ酵母と乳酸菌の存在しない環境を作り出し、維持する事の方が困難です。
 また、日本土壌肥料学会の報告(pdf)のp.10によるとEMに含まれる微生物を分析した結果、光合成細菌は存在しませんでした。
これに対して、世界救世教系の財団法人・自然農法センターから特殊な培養方法と継体培養の組み合わせで光合成細菌を分離同定出来るという反論もありました。
自然農法センターの報告は、通常の培養ではEM中の光合成細菌は検出されないと述べる意味もあります。
EMの一般的な使用方法では、光合成細菌を利用出来ない事になってしまいます。

結び
 今回の比嘉氏によるEMの説明は、EMには特定の微生物と呼べる実態が無いと述べている様に思えます。
むしろ、pH3.5以下の条件を生み出す培地組成にEMの企業機密がありそうです。
それは、公開されているEM活性液の培養方法に近いもの(pdf)なのかもしれませんし、秘密の成分が何かあるのかもしれません。
何れにしても、EMの本質が科学的に証明出来る事実ではなく、言葉の持つイメージ『言霊』であるという印象を強めた出来事でした。

追記)
この記事に寄せられたツイッターの感想をまとめました。
EMのカミングアウトへの感想
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2013年07月16日

EMと製造物責任

 2013年7月15日、EM(有用微生物群:通称EM菌)普及を目的とするNPO法人を束ねるUーネット主催で第4回「EMの日」イベントが開かれました。主な開催場所はこちらです。
U−ネットは、傘下NPO法人の会員数が25万人を越える巨大なNPO法人です。
回を重ねるごとに規模を拡大するEMの日イベントですが、今回はEM団子100万個、EM活性液1000トンの予定で行われました。
今回のEMの日イベントに関連して、従来と少し異なる展開がありましたので紹介します。

「福島県民の日」サマーキャンペーン記念事業
 福島県文化振興課が「福島県民の日」サマーキャンペーン記念事業に、EMの日イベントを採択しましたが、疑問の声が挙がり、除外されました。
ニセ科学と批判されるEMのイベントが、福島県の事業から除外されたことは高く評価出来ます。
その一方で、福島県職員の中にEMを推進する勢力があることが判り、今後に憂いが残りました。

藤沢メダカ
 藤沢メダカという希少種のいる藤沢市の蓮池に、EM団子とEM活性液を投入する計画がありましたが、関係者と主催者の適切な判断があり、中止されました。
主催者、サーフショップ・カリフォルニアのブログのコメント欄でも、EM投入の是非について、活発な意見交換が行われました。
コメントに対して解説を加えたまとめも作成しましたので、併せてご覧頂きたいと思います。

EM研究機構のコメント
 サーフショップ・カリフォルニアのブログのコメント欄に寄せられた意見の中に、非常に重要なものがありました。
EMを推進するEM建之氏から、株式会社EM研究機構(以下EM研究機構と略します)の指導を受ける様にと提案があり、その後EM研究機構からコメントが寄せられました。
重要な内容ですので全文転載します。

(引用開始)
カリフォルニア御中

この度は海の日EM一斉投入の趣旨ご理解くださり、ありがとうございます。
また、イベントの企画にはじまり猛暑の中での準備作業に敬意を表しますと共に、感謝申し上げます。

折角の企画に対し、心無いコメントがございましたことを残念に思いますと共に、EM技術のノウハウ管理を生業とする立場からご説明を差し上げたいと存じます。

まず、「EMには科学的根拠がない」、「EMが水質汚濁源となる」とのご指摘ですが、EMで水質が改善された事例は世界各地に多数あり、数値的な検証結果もございます。
具体的な事例につきましては、昨年の朝日新聞青森版記事に対する弊社見解のページをご参照ください(http://www.emro.co.jp/about_article/index.html)。
また、水質汚濁源になるとの主張の根拠として、福島県の見解を引用しておりますが、EM資材そのものの有機物濃度だけで断定しており、現場の使用実態と大きくかけ離れた実験設定で評価を行うこと自体が科学的客観性に欠けていると言わざるを得ません。

次に、メダカに対する影響を心配するご意見もございますが、弊社では外部研究機関に試験を委託し、藻類、ミジンコ、ヒメダカに対して無害である、という結果を得ております。
メダカに関しては、冬場のプールにEMを投入しメダカの養殖を行っている学校もあり、プールという完全な閉鎖系においても安全性が担保されているばかりか、むしろ増殖に良い影響を与えていることが確認されています。

なによりも、十和田湖増殖漁業協同組合様や大阪市漁業協同組合様のように水産資源を生活の糧とする皆様が、進んでEMを活用し水質浄化に取り組んでくださっていることが、EMの安全性や生物多様性の促進効果を裏付けていると考えます。

以上、弊社の見解を申し上げますと共に、15日は安心してEM投入を実施していただきたく、お願い申し上げます。

なお、蓮池の関係者様や藤沢市役所様へのご説明に際しましては、弊社職員を派遣し誠意をもって説明にあたらせていただきますので、何かございましたら遠慮なくお申し付けください。

また、上記コメントに対するご意見やご質問は、直接弊社(info@emro.co.jp)までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

それでは今後ともよろしくお願い申し上げます。
末尾になりますが、15日のイベントのご成功をお祈り申し上げます。
Posted by: EM研究機構 |at: 2013/07/13 1:43 PM
(引用終了)


製造物責任
 EMは本来農業用資材です。
農業用以外の目的に使用することに対して、EM研究機構は従来保証していませんでした。
飲用や環境浄化などへの使用は、あくまで使用者の自己責任とされていました。
従って、農業以外の目的でEMを使用し、事故が起きても製造元のEM研究機構には責任が及びませんでした。
 今回EM研究機構が、「藻類、ミジンコ、ヒメダカ」及び「メダカ」に対するEMの安全性を保証しました。
今後これらの生物に対してEMを使用し、損害が発生した場合にはEM研究機構に対して損害賠償請求出来ることになりました。
製造物責任法(PL法)第2条2項の製品の欠陥に関する条文が当てはまると思われます。
『この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。』
 なお、上記コメントがEM研究機構を名乗る第三者である可能性もあります。
その場合、本物のEM研究機構は、悪質な情報操作を非難し、EMがメダカに対して危険であるという事実を公表すべきです。

赤潮
 上記コメントがEM研究機構のものであった場合、もう一点重要な事があります。
「藻類」に対して無害という記載です。
赤潮は渦鞭毛藻などの藻類が原因で起こります。
今回の「EMの日」でも、EM団子やEM活性液が、赤潮を防ぐことを目的に全国各地の海に投入されています。
EM研究機構がEMは赤潮対策にならないといっていますので、赤潮対策目的のEM投入は、今後止めた方が良いと思います。
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2013年07月03日

EMとメディア

発端の出来事
 2012年7月3日に朝日新聞青森総局・長野剛記者の「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業という、EM(有用微生物群:通称EM菌)に関しての画期的な報道がありました。
EMに関して毎月多数の新聞報道がありますが、そのほとんどはEMを肯定的に紹介するものです。
EMに批判的な記事も少数ありますが、ニセ科学に批判的な方達や研究機関の発表を紹介するものでした。
  長野記者の記事は、記者自身が青森県内の学校や県庁に取材して書いたもので、従来のEM批判報道とは一線を画していました。
地方版の記事であったにも関わらず、ネット上で大きな話題になり、当日のうちにデジタル版全国社会面に転載されました。

EM推進運動とマスコミ
 EMは1993年に出版された書籍「地球を救う大変革―食糧・環境・医療の問題がこれで解決する」を契機として社会への普及が始まりました。
EM推進者は2000年代半ばまで、批判者と対立した場合に直接反撃することが多く、各地で住民や自治体とトラブルを起こしていました。
そして日本土壌肥料学会や各地の研究機関、マスコミからEMに否定的な報告が相次ぎました。
それらの出来事の主要な内容が斎藤貴男氏の「カルト資本主義」に描かれています。
 軋轢が大きかったためか、2000年代半ば以降EM推進者はソフト路線に転じます。
EM推進者は、NPO法人花のまちネットワークの設立、EMによる環境運動、小中学校でのEM教育、など科学者や市民団体からは直接批判しにくい人々への浸透を図りました。
EM推進者の新聞各社への情報提供という働きかけも、ソフト路線の延長上にあったと考えられます。
地方紙や全国紙地方支局に毎月複数の人物から記事提供があれば、取り上げられる機会が増えます。
EM推進者達は、膨大な労力投入の末に、毎月何十件もの新聞記事掲載を実現したと思われます。
おそらく長野記者の記事は、EM推進者達のメディア戦略に大きなダメージを与えたのでしょう。
またネット上でのEM批判を契機にして毎日新聞社からもEMの宣伝になりかねない記事掲載を見直す動きが出てきました。

EMの逆襲
 朝日新聞の記事に対するEM推進者の反撃は苛烈なものでした。
そしてEM側の反論に対しては、多くの方達から批判が沸き起こりました。
朝日新聞の記事を巡る攻防の詳細は長くなりますので、拙まとめ「EM夏の陣」をご覧ください。
 その直後EM開発者・比嘉照夫氏の驚くべき講演が行われました。
EMを批判する人々や朝日新聞、日本土壌肥料学会に対する訴訟を起こすと発言し、フジテレビに対しては殺害や爆破まで予告する過激な内容でした。
長野記者の記事は、EM推進者にソフト路線を忘れさせてしまうほどの打撃を与え、比嘉氏も思わず本音が出た様です。

フジテレビからのEM批判
 一方、朝日新聞の記事とは直接関係なかったにも関わらず、比嘉氏に爆破予告されたフジテレビは、EMを批判する特別番組を製作しました。
関東地方向けのローカル番組だったために、ご存じない方が多いと思いますが、「フジテレビEM菌報道の文字起こし」を作成しましたのでご覧頂きたいと思います。
 フジテレビの番組は、ポイントをEMによる放射能除染に絞ったものでした。
比嘉照夫氏をはじめ、EMを推進しようとする人達とEMを使う人達へのインタビューを中心に、EMを批判する人達の意見を織り込む番組構成でした。
見どころの多い番組ですが、中でもフジテレビ記者の比嘉氏に対するインタビューは圧巻でした。
矛盾を指摘されて、説明を二転三転させる比嘉氏に対する追求の手を緩めず、EM除染が如何に出鱈目であるかが明らかになりました。
 フジテレビのEM菌番組は、EM推進者の朝日新聞に対する反撃を踏まえたものであったと思われます。
長野記者は比嘉氏に直接取材しなかったことをDNDの出口氏に批判されましたが、フジテレビは比嘉氏への直接インタビューを番組のメインにしました。
フジテレビ記者は、比嘉氏の口から直接『波動』というEMの非科学性を象徴する発言を引き出す事にも成功しています。
この様な形での朝日新聞とフジテレビの連携は、高く評価すべきだと思います。

EMとメディアのその後
 朝日新聞とフジテレビの報道で、EMはメディア戦略に一定のダメージを負ったと思えます。
この傾向は、サイエンスライター片瀬久美子さんの分析にもはっきりと現れていて、2012年8月以降EMを扱う記事数に明らかな減少が見られます。
新聞記事とEM菌(1)−データ解析編−
新聞記事とEM菌(2)−考察編−
DND出口氏の長野記者批判に対しても新たな事実が明かされました。
DND出口氏の記事にある青森市立西中校長インタビューの事実関係の確認
 その一方で、今後のEM報道に関する懸念材料もあります。
一時掲載数が減少したEM推進の新聞記事が、2013年5月以降再び増加傾向にあります。
またEM報道を見直すことが提案されている毎日新聞社に対して、EM推進者側が地方局の切り崩しを図り、残念ながら一定の成果をあげています。
また関西ローカルですが、読売テレビから海外のEM菌を紹介する番組が放送されました。
さらにNHK新潟からもEM環境教育を紹介するニュースが流れてしまいました。
この様に、EMのメディア戦略は今後更に拡大する可能性があり、懸念を覚える状況が続いています。

菌の言霊
 比嘉氏は2012年12月8日に青森県で行った講演会で、フジテレビの番組に対して「爆破予告が効いたのか、前半に事実を期待以上に放映してくれた。私はバンザーイだった」と話しています。
フジテレビの記者に矛盾点を追求されて、しどろもどろになった比嘉氏を見た私には、信じがたい発言でした。
比嘉氏の発言は、EM支持者の動揺を抑えることが主目的だとは思いますが、あるいはハッタリばかりではないかもしれません。
 私の予想ですが、比嘉氏は『EM』と『有用微生物群』という言葉を広げることが第一義で、手段は問わないと考えている様に思えます。
EMには科学的に証明できる効果という実体が、本当は無いのでしょう。
そして『EM』と『有用微生物群』という言葉のもたらすイメージ(言霊)こそがEMの本質なのでしょう。
EM開発者の比嘉氏は、細菌がウイルスから進化したなど奇妙な発言を行っています。
比嘉氏には、ウイルスが生きた細胞の中でしか増えることが出来ないという基本的な知識が欠如しています。
比嘉氏は『EM』と『有用微生物群』という言葉を発明しましたが、微生物に関しては素人としか思えません。
比嘉氏とEM推進者達が、日本土壌肥料学会をはじめ科学者達からのEM批判に対して論点を誤魔化すのは、基本的な知識がなくて反論出来ないことが大きな理由なのでしょう。
 比嘉氏は『EM』と『有用微生物群』という言葉その物に、科学的な手法を越えた効果があると考えているのかもしれません。
EMの言霊『EM』と『有用微生物群』を広めることには、ニセ科学のEMを利する面もあるでしょう。
しかし、EMのニセ科学の側面に対しては警鐘を鳴らし続ける必要があります。
EMによる除染や環境浄化は、科学ではなく幻術の類であり、日本の未来をEMに委ねるべきではありません。
 フジテレビの番組を見れば、より多くの人にEMの持つ問題点が伝わり、EMによる被害が減る筈です。
EMの問題点に気が付かずに放送したNHKや読売テレビなど、メディア各社に対しての啓発にもなります。
EM関連団体を表彰したり支援している省庁や自治体と大企業にも間違いに気づいてもらえます。
フジテレビには、是非全国版で「福島でまかれる"EM菌" 検証!除染効果はあるのか」を再放送して頂きたいと思います。
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